「自転車が少ない県」を調べると、長崎が最下位という情報と、沖縄が最下位という情報の両方がネット上に出てきます。いったいどちらが正しいのでしょうか。

答えは「どちらも正しい場合があります」。集計方法や指標によって順位が変わるのがこのテーマの特徴で、単純なランキング記事では伝えきれない背景があります。この記事では、その違いをわかりやすく整理しながら、長崎・沖縄それぞれに自転車が少ない理由と考えられる要因をご紹介します。

自転車が少ない県ランキング(1世帯当たり保有台数)

一般財団法人自転車産業振興協会が実施した「2021年度 自転車保有並びに使用実態に関する調査」(全国2万世帯対象、2022年公表)によると、1世帯当たりの自転車保有台数が少ない都道府県の上位5県は次のとおりです。

  1. 長崎県(0.381台)
  2. 沖縄県(0.491台)
  3. 大分県(0.650台)
  4. 鹿児島県(0.701台)
  5. 福岡県(0.816台)

報告書本文にも「少ないのは長崎県、沖縄県、大分県」と明記されています。1世帯当たりの保有台数で見ると、九州の県が下位に目立つ一方、上位には大阪府(1.356台)・高知県(1.293台)・埼玉県(1.274台)が並びます。

※この調査は2021年実施・2022年公表のものです。2026年8月時点で確認できる都道府県別の最新全国比較調査はこの2021年度調査です。

長崎県に自転車が少ない理由

長崎県に自転車が少ない理由として、以下のような要因が影響していると考えられます。

坂の多い地形

長崎市は「坂の街」として知られており、急勾配の坂道が市内各所に広がっています。長崎県の資料でも「平地が少なく、斜面地・坂・階段が多い独特の地形」と表現されています。平坦な道が少ないため、自転車での移動は体力的な負担が大きく、日常的な交通手段として選びにくい環境と考えられます。

路面電車が公共交通を支えている

長崎市内には長崎電気軌道(路面電車)が走っており、主要エリアを結ぶ公共交通として機能しています。坂道の多い市街地での移動を路面電車やバスがカバーしていることが、自転車の必要性を下げる一因になっている可能性があります。ただし、路面電車の存在と自転車保有台数の低さについて、直接的な因果関係を示す統計は確認できていません。

地形と交通の複合的な影響

坂道を日常的に移動する環境では、徒歩やバス・路面電車といった交通手段が自転車の代わりに使われることが多いと考えられます。こうした地形・交通の複合的な要因が影響していると考えられますが、統計上の直接的な因果関係は確認できていません。

沖縄県に自転車が少ない理由

沖縄県も自転車保有率が低い地域として挙げられることが多く、以下のような要因が影響していると考えられます。

自動車への依存度が高い

沖縄県では鉄軌道が限定されており、陸上交通の多くを自動車に依存しています。公共交通が限られている地域では短距離でも車移動が一般的になっており、自転車が移動手段として選ばれにくい環境が形成されていると考えられます。

高温多湿の気候

沖縄は高温多湿の期間が長く、強い日差しもあるため、日中の自転車移動には身体的負担が生じやすいと考えられます。こうした気候が保有率に影響している可能性がありますが、全国比較した客観的な統計は確認できていません。

台風の多さ

台風の接近・上陸が多い沖縄では、強風や大雨のために自転車が使えない時期が一定期間あります。こうした気候リスクも、自転車を購入・維持するうえでの障壁になり得ると考えられます。ただし、台風の頻度が保有率を下げているとする統計的な根拠は確認できていません。

塩害による傷みやすさ

海に囲まれた沖縄では、潮風による塩害が金属部品の腐食を早める環境です。自転車の耐久性が下がりやすく、維持コストがかかりやすいことも影響している可能性があります。

これらの要因が複合的に影響していると考えられますが、統計上の因果関係は確認できていません。あくまで「考えられる背景」としてご参照ください。

「沖縄がワースト」という情報はなぜ出てくるのか?

ここが、この記事でもっとも伝えたいポイントです。

民間のアンケート調査では沖縄県が最下位となっている結果が存在します。一方、自転車産業振興協会による全国推計では長崎県が最少水準にある調査があります。なぜ結果が違うのか。それは「何を測っているか」が異なるためです。

自転車の普及状況を示す指標には、主に次の3種類があります。

指標の種類測るもの下位になりやすい県の例
総保有台数県全体の自転車の合計台数人口が少ない県が不利になりやすい(長崎・鳥取・島根など)
1世帯当たり保有台数世帯ごとの平均台数長崎県が最少(2021年調査)
保有者割合(民間アンケート)引越し荷物に自転車が含まれた割合など沖縄県が最下位の調査がある(2014年)

「1世帯当たり」で見るか、「持っている人の割合」で見るかによって、同じ地域でも順位が変わります。ランキングの数字だけを見て比べると、指標の違いで順位が入れ替わるのがこのテーマの特徴です。

「どの県が最下位か」という問いに対しては、どのデータを使っているかを確認することが大切です。自転車産業振興協会の2021年度調査では長崎県が最少水準にある一方、2014年の民間調査(引越し荷物への自転車含有率)では沖縄県が最下位になっています。どちらかが「嘘」というわけではなく、指標の選び方による違いです。

自転車が多い県は?

比較として、1世帯当たりの自転車保有台数が多い県も見てみましょう。2021年度調査で上位3位は次のとおりです。

  • 大阪府(1.356台):1世帯当たりの保有台数が全国トップの調査があります
  • 高知県(1.293台):1世帯当たり保有台数が全国2位の調査があります
  • 埼玉県(1.274台):首都圏でも自転車利用が盛んな地域として知られています

平坦な地形・商業施設や駅へのアクセスのしやすさなど、さまざまな要因が重なっていると考えられます。自転車が多い地域と少ない地域を比べることで、地形や生活環境の違いがより鮮明に見えてくるかもしれません。

まとめ

1世帯当たりの保有台数(2021年度調査)では長崎県(0.381台)が最少で、沖縄県(0.491台)が続きます。民間アンケートの保有者割合では沖縄県が最下位になる場合があります。どちらも「正しい情報」ですが、異なる指標を使っています。

長崎県については坂の多い地形と路面電車・バスの存在、沖縄県については自動車への依存・高温多湿・台風・塩害といった要因が影響していると考えられます。いずれも「こうした背景が組み合わさっている可能性がある」という理解にとどめつつ、ランキングを読む際には「何の指標か」「いつの調査か」を確認するクセをつけると、より正確な情報が得られるでしょう。

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よくある質問

坂の多い地形について教えてください

長崎市は「坂の街」として知られており、急勾配の坂道が市内各所に広がっています。長崎県の資料でも「平地が少なく、斜面地・坂・階段が多い独特の地形」と表現されています。平坦な道が少ないため、自転車での移動は体力的な負担が大きく、日常的な交通手段として選びにくい環境と考えられます。

路面電車が公共交通を支えているについて教えてください

長崎市内には長崎電気軌道(路面電車)が走っており、主要エリアを結ぶ公共交通として機能しています。坂道の多い市街地での移動を路面電車やバスがカバーしていることが、自転車の必要性を下げる一因になっている可能性があります。ただし、路面電車の存在と自転車保有台数の低さについて、直接的な因果関係を示す統計は確認できていません。

地形と交通の複合的な影響について教えてください

坂道を日常的に移動する環境では、徒歩やバス・路面電車といった交通手段が自転車の代わりに使われることが多いと考えられます。こうした地形・交通の複合的な要因が影響していると考えられますが、統計上の直接的な因果関係は確認できていません。

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